ビット(bit)は、0か1のどちらか一つを表す、コンピューターが扱う情報の最小単位です。 写真も文字も、この0と1を並べて表しています。
たとえば、ランプが「消えている」か「ついている」か。この二つの違いに、0と1という名前をつけてみます。一つのランプが今どちらなのかを表すぶんが、1ビットです。
0と1だけで写真や文字も表せると聞くと、不思議かもしれません。一つずつ、組み合わせを見ていきましょう。ここでは計算を覚えなくても大丈夫です。
0にも、意味がある
おもちゃの車を走らせる遊びで、先にこんな約束をしたとします。
| ランプのようす | この遊びでの意味 |
|---|---|
| 0 消えている | まだ出発しない |
| 1 ついている | 出発する |
ランプが消えていたら、「まだ出発しない」とわかります。0は「何もわからない」という意味ではありません。 この約束の中では、0も大切な返事です。
イト
消えていても、返事になるんだね
ピコ
うん。先に『消えていたら、まだ』と決めたから、読めるんだ
ユイ
0と1の意味は、最初に決めておくんですね
マコト
そう。同じ合図でも、別の約束なら違う意味になるよ
漫画:一つの灯りが、伝えること 全4ページ
イトとピコが、おもちゃの車で遊びます。消えているランプにも意味があると知ったイトは、合図をどう読むでしょう。
画像を押すと拡大できます。+/−で大きさを変え、拡大中はドラッグして読めます。
この遊びでは、ランプが正しく動き、決めたときに見ることを前提にしています。実物のランプが消えているときは、故障なども考えられます。機器の中に同じランプがある、0と1がそのまま電気の強さを表す、という意味ではありません。
漫画の約束では、消えていたら止まり、ついたら進みます。ここで表しているのは、「まだ」と「出発」のどちらか一つです。
「0はいつも止まる、1はいつも進む」と決まっているわけではありません。何を意味するかは、そのデータを使うときの決まりによります。
二つ並べると、4通りになる
一つのビットは0か1。二つ並べると、00・01・10・11の4通りができます。「01」は「左が0、右が1」という並びです。
二つのスイッチで、何通り作れる?
消えているほうを0、ついているほうを1とすると、二つの並びは 00・01・10・11の4通りです。文字や色を表すには、この並びをどう読むかの約束も必要です。
右:消えている
右:ついている
右:消えている
右:ついている
動かしてみたい人は、下のボタンを押せます。読むだけでも大丈夫です。
今の並び:00。見つけた並びは1 / 4通り。
たとえば、00を赤、01を青、10を黄、11を緑と決めれば、四つの色を区別できます。これは説明のために作った決まりで、実際の写真の保存方法ではありません。
もう一つビットを足すと、今ある4通りそれぞれに「最後が0」と「最後が1」を作れます。だから、3ビットなら8通りです。一つ足すたびに、組み合わせが2倍になります。
1〜8ビットで何通りになるか、表で見る
| ビットの数 | 組み合わせの数 |
|---|---|
| 1 | 2通り |
| 2 | 4通り |
| 3 | 8通り |
| 4 | 16通り |
| 5 | 32通り |
| 6 | 64通り |
| 7 | 128通り |
| 8 | 256通り |
たとえば、「おにぎり・パン・めん」の三つを区別したいなら、1ビットの2通りでは足りません。2ビットを使い、00・01・10をそれぞれの食べ物に決めれば表せます。11は使わずに残せます。
8ビットの256通りに0から順に番号をつけると、0〜255になります。最後が255でも、0を含めて256通りです。
文字や写真は、どうやって表す?
文字なら、「この並びはA」「別の並びはB」という決まりを使います。文字をデータにする決まりを、文字コードと呼びます。
写真は、小さな色の点がたくさん集まってできています。その点の色などを、ビットの並びで表して保存します。使う量や保存のしかたは、写真の形式によって違います。
つまり、ビットの並びだけでなく、その並びをどう読むかの決まりも必要です。同じ並びでも、文字として読むのか、色として読むのかで意味が変わります。
詳しくは文字コードとはや画像データのしくみで読めます。文字や写真をまとめて「データ」と呼ぶ話は、データとはにつながります。
なぜ、0と1の二つを使う?
理由の一つは、二つに分けると、少しのずれがあっても見分けやすいことです。
遠くのランプを見て、「ついているか、消えているか」を分ける場面を考えてみてください。明るさを10段階に分けて「7か8か」を見分けるより、違いを読み取りやすそうです。
これはたとえですが、電気の信号にも似た考え方があります。信号が少し乱れても、決めた範囲に収まっていれば、0か1かを読み取れます。ただし、大きく乱れると読み間違えることもあります。
0と1は、二つの違いにつけた名前です。機器の中に数字の札が並んでいるわけではありません。実際の部品のしくみは、コンピューターはなぜ0と1を使う?で説明しています。
ビットとバイトの違いは?8ビットで1バイト
8ビットをひとまとめにして数える名前が、1バイトです。 2バイトなら16ビット。まとめても、中身を減らすわけではありません。
写真の情報にあるMBや、スマホの容量にあるGBのBは、バイトを表します。ビットのしくみを見たあとに、ふだんの画面の数字へつなげたい人はバイトとはへ進めます。
通信の速さにも、ビットが出てくる
bps(ビーピーエス)は、「1秒あたりに何ビットを送れるか」を表す書き方です。100Mbps(メガビーピーエス)なら、1秒あたり1億ビットという速さです。
ビットだけなら量の話で、「1秒あたり」がつくと速さの話になります。MBとMbpsのように似た記号で迷ったら、ビットとバイトの違いやMbpsとはで見比べられます。
bitという名前の由来を知りたい人へ
bitは、binary digitという英語を短くした名前です。binary digitは、0と1で表す数字のことです。
シャノンという研究者が1948年に発表した論文には、この名前をテューキーが提案したと書かれています。論文でも、二つの状態を持つものを一つ増やすと、組み合わせが2倍になることが説明されています。
ビットでよくある疑問
Q1. ビットとは、何ですか?
0か1のどちらか一つを表す、データの小さな単位です。コンピューターで使う情報の最小単位とも呼ばれます。
Q2. 0は、情報がないという意味ですか?
そうとは限りません。0を「まだ」、1を「出発」と決めた例では、0も意味のある合図です。意味は、データを読むときの決まりによります。
Q3. 8ビットと1バイトは、同じ量ですか?
同じ量です。ビットを8個まとめて1バイトと数えます。8個の0と1の並べ方は、全部で256通りあります。
最初は「一つで二つを区別できる」「並べると組み合わせが増える」とつかめれば、次の話につながります。物語で読みたい人は、第71話「ビットはどんな光の札?」へどうぞ。








