イト
動画サイトのサーバーって、どこにあるの? 画面の中じゃないよね。外国?
ピコ
日本にもたくさんあるよ。いちばん多いのは、東京と大阪のまわり。千葉の印西という町にも、大きいのがある
サーバーは、データセンターや会社・学校のサーバー室などに置かれています。クラウドにも物理的な機械があり、Googleの千葉県印西市のデータセンターや、AWSの東京・大阪リージョンが日本の例です。画面に雲の絵があっても、データを扱う機械には置き場所があります。
知りたいのが「機械を置く建物」なのか、「自分のデータを預けた地域」なのかで、調べる先は変わります。施設の住所を公表する事業者もありますが、IPアドレスの位置情報だけで、そのサイトの元データを保管する建物まで特定することはできません。
日本のサーバー拠点はどこ?東京・大阪圏と地方の実例
総務省の令和7年版 情報通信白書では、国内のデータセンターの立地がおよそ9割、東京圏・大阪圏などの都市部に集中すると説明されています。これはデータセンターの立地についての説明で、会社や学校の設備も含めた「日本の全サーバー台数の9割」という意味ではありません。
データセンターは、サーバーを止めずに動かすための建物です。大きな会社は、日本の拠点を公式のページに載せています。
| 会社 | 日本の拠点(公式ページの書き方) |
|---|---|
| 千葉県印西市にデータセンター。Google Cloudは東京と大阪 | |
| AWS(Amazon) | アジアパシフィック(東京)と、アジアパシフィック(大阪) |
| Microsoft Azure | 東日本(東京、埼玉県)と、西日本(大阪) |
| さくらインターネット | 北海道(石狩)、東京、大阪の3拠点 |
※ 2026年10月10日に各社の公式ページで確認。
なぜ東京のまわりなのか。総務省の有識者会合は2023年の報告で、理由を3つ挙げています。まとめて建てると安くつくこと、使う会社に近いこと、機械の世話をする人を集めやすいことです。
集まりすぎは、弱点にもなります。白書は、大きな地震で東京圏や大阪圏が被害を受けると、通信に全国規模の影響が出るおそれがあるとしています。そこで国は、東京圏の外に建てるデータセンターを基金で支え、北海道と九州を次の拠点に育てようとしています。さくらインターネットの石狩データセンターは、その北海道にあり、2023年6月から水力発電を中心とした再生可能エネルギーで動いています。

ここまで見てきたのは、サーバーを置く建物です。では、「クラウド」という名前が付くと、置き場所も変わるのでしょうか。
TERM PRIMER
サーバーの場所|この記事に出てくる言葉
クラウドのサーバーはどこにある?雲の上ではなく、だれかの建物の中
イトは、クラウドの雲の絵を見て、上を探しました。
漫画:画面の外にも、場所がある 全4ページ
クラウドの雲の札を見て、イトは上を探してしまう。マコトが地上のデータセンターの模型を見せると、機械の置き場所とサービスの名前が別だと分かる。会社の設備も見比べ、イトは雲の札の下に地上の機械の札を貼る。
画像を押すと拡大できます。+/−で大きさを変え、拡大中はドラッグして読めます。
地図と施設は仕組みを説明する模型で、特定サービスの実際の設置場所を示しません。データセンターや会社設備は置かれ方の例です。クラウドを使っていても物理的な機械はあり、近くの配信用サーバーなど複数の場所が関わる場合もあります。IPの地域情報だけで正確な建物は決められません。
雲の絵は、機械の置き場所ではなく、サービスの呼び名でした。クラウドは、ほかの会社の建物にある機械を、インターネット越しに借りる使い方です。上の表のGoogle、AWS、Microsoftの拠点が、その「ほかの会社の建物」に当たります。
身近な例が、iPhoneのiCloudです。Appleは公式の説明で、データの保管と処理に、Appleのデータセンターと他社のデータセンターの両方が使われる場合がある、と書いています。写真を預けた先は、Appleの建物とは限りません。
クラウドの会社は、サービスを提供する地域を「リージョン」という単位で示します。AWSの「アジアパシフィック(東京)」がその例です。一つのリージョンが一棟の建物を意味するわけではありません。サービスを作る会社は、利用者との距離や利用できる機能、データを置く条件などを考えて地域を選びます。
漫画の3ページ目のとおり、置き方はほかにもあります。会社や学校が、自分の建物の一室にサーバーを置く形です。
| 置き方 | 機械がある場所 | 管理するのは |
|---|---|---|
| クラウド | クラウドの会社のデータセンター | クラウドの会社 |
| データセンターを借りる | データセンターの会社の建物 | 借りた会社と、建物の会社 |
| 自分の設備に置く | 会社や学校の中のサーバー室 | その会社や学校 |
この表の置き方では、機械は地上の建物にあります。それなら、建物の住所も調べられそうです。
サーバーの住所や見学条件は、事業者ごとに異なる
ユイ
印西市のどこにあるのか、地図で見てみたいのですが、番地が出てきません
マコト
銀行の金庫の場所を、玄関に貼り出さないのと同じだね。預かり物があるから
住所の公開範囲は一律ではありません。日本データセンター協会の一覧には、所在地を掲載している施設もあります。ただし、住所が分かることと、自由に入館・見学できることは別です。
Googleの印西拠点の公式紹介は市名を示しています。一般向けの見学は安全上の理由で行わず、代わりに建物の中を360度見られる映像を公開しています。
AWSも、利用する会社による見学を認めていません。理由は、1つの建物でたくさんの会社のデータを預かっていること。1社を中に入れると、ほかの会社の預かり物の近くに、関係のない人を通すことになるからです。
建物の番地までは分からなくても、「いま見ているサイトは、どのあたりから届いているのか」を調べる手がかりはあります。
いま見ているサイトのサーバーの場所は調べられる?
IPアドレスから調べる場合、組織名やおおよその地域が手がかりになります。施設の公式所在地と、通信の応答地点を混同しないことが大切です。
| 方法 | 分かること | 分からないこと |
|---|---|---|
| IPアドレスの持ち主を調べる(WHOIS) | そのIPアドレスを割り当てられた組織の名前 | 機械が置かれた建物 |
| IPアドレスから場所を推定するサービス | 国や、おおよその地域 | 番地。世帯や個人 |
Cloudflareを使うサイトで、アドレスの後ろに /cdn-cgi/trace を付けて開く | 返事をした拠点(colo= の3文字) | もとのサーバーの場所 |
※ JPNIC、MaxMind、Cloudflareの公式の説明によります。WHOISは、ネットワークの管理のために公開されている情報です。
1つめのWHOISは、IPアドレスの割り当て先を調べるしくみです。出てくるのは組織の名前で、建物ではありません。
2つめは、精度に限りがあります。位置の推定データを作っているMaxMindは、100%の正確さは保証できないとし、特定の世帯や個人、番地を突き止められる精度ではない、と明記しています。
3つめの colo= は、Cloudflareでそのリクエストを処理した拠点を示します。空港の3文字コードを使いますが、その空港内にサーバーがあるという意味ではありません。KIX と出ても、元のWebサイトや保存データが関西にあるとまでは分かりません。
自分でクラウドを借りている人は、管理画面で対象サービスのリージョンを確認できます。ただし、別地域のバックアップや複製、地域を選ばないサービスまで、一つの設定だけで確認したことにはなりません。
たとえば、管理画面では「東京」、アクセス時の応答拠点は「大阪」と表示されたとします。東京にある元のサーバーから内容を受け取った配信拠点が、大阪で応答する構成なら両立します。「どこに保存したか」と「どこが今回返事をしたか」を別々に読むと、二つの地名を見ても矛盾とは限らないと分かります。これは仕組みを説明する仮の例です。
調べた結果、海外の会社のサイトなのに、関西の拠点が返事をしていると分かる場合があります。これは、近くに置かれたデータの控えから届く仕組みと関係しています。
近くから届くサーバーもある?動画が毎回は海を渡らない理由
よく見られる動画や画像は、使う人の近くに控えが置いてあります。遠くの本館まで毎回取りに行かず、近所の分館で受け取るしくみです。これをCDNと呼びます。
分館は、思ったより近くにあります。
- Netflix: 動画を配る専用の機械を、プロバイダー(インターネットの接続会社)のネットワークの中に置けるようにしています
- Google: 一部の内容を、プロバイダーが自分のネットワークの中から配れるしくみを用意しています
つまり、サーバーの一部は、あなたが契約している接続会社の建物の中にあるかもしれません。

近くに無いデータは、遠くまで取りに行きます。相手が海外なら、海底ケーブルを通ります。距離が長いほど往復に時間がかかり、その遅れはレイテンシとして表れます。サーバーの場所が体感に関わるのは、このときです。
サーバーの置き場所として研究されているのは、地上の建物だけではありません。海底や宇宙では、どこまで試されているのでしょうか。
海の底や宇宙にサーバーは置ける?
海の底には、もう置いたことがあります。
Microsoftは2018年の春、スコットランドのオークニー諸島の沖で、サーバー864台を入れた筒を、深さ約36メートルの海底に沈めました。2年後に引き上げて調べると、故障の割合は、陸上の8分の1だったといいます。
宇宙は、これからです。Googleは2025年11月、宇宙で計算をする研究「Project Suncatcher」を発表し、2027年の初めまでに試作の衛星2基を打ち上げる計画だとしています。
どちらも実験と研究の段階です。いま私たちが毎日使っているサーバーは、地上の建物の中にあります。
ミニクイズ:サーバーの場所を言える?
Q1. インターネットのサーバーは、どこにありますか?
A. データセンターや、会社・学校のサーバー室などにあります。国内のデータセンターは東京圏・大阪圏に集中していますが、全サーバー台数の割合とは区別します。
Q2. クラウドのサーバーは、どこにありますか?
A. クラウドの会社のデータセンターの中です。Googleは千葉県印西市、AWSとMicrosoftは東京と大阪に拠点を置いています。雲の上ではありません。
Q3. 見ているサイトのサーバーの住所は、調べられますか?
A. 施設が公式に所在地を公表していれば確認できます。ただし、IPアドレスの位置情報やCDNの応答拠点だけでは、そのサイトの元データを保管する建物を特定できません。
画面の外にも、場所がある
イトは、地図の壁の雲の札の下に、「地上の機械」の札を貼り足しました。東京のまわりと、大阪のまわり。それから、北海道にも1枚。
次に動画を開くとき、画面の向こうを思い浮かべてみてください。遠くにある元のデータと、今回の映像を届けた近くの拠点は、同じ場所とは限りません。「保存する場所」と「届ける場所」の二つを分けると、サーバーの地図が少し具体的になります。
イトたちが、遠くの図書館を地図で探す場面は、物語の第33話にあります。
この記事について
LAB WHITEBOARD
サーバーの場所を一文で説明してみよう
「サーバーが置かれている場所を、日本の地域名と会社の拠点の名前で言え、クラウドのサーバーがどこにあるか、住所が公開されない理由、見ているサイトの場所について調べられることと調べられないことを説明できるようになる。」を、いまの自分の言葉で一文にしてみてください。途中の説明でも大丈夫です。








