ユイ
ラボのルーターの設定に、WPA2とWPA3と「WPA2/WPA3」が並んでいます。新しいWPA3でいいのでしょうか
ピコ
決め手は新しさじゃないよ。このラボでいちばん古い機器はどれ?
WPA2とWPA3は、Wi-Fiにかける鍵の方式です。どっちがいいかは、家でいちばん古い機器で決まります。全部の機器がWPA3に対応していればWPA3、古い機器がある、または分からなければ両方に対応する「WPA2/WPA3」、それでもつながらない機器が残ったらWPA2(AES)にします。
WEP、数字の付かないWPA、TKIPと書かれた設定は、どの場合も選びません。そして、WPA3にしても通信は速くなりません。
WPA3とWPA2、どっちがいい?家の機器で決める早見表
| 家の機器 | 選ぶ設定 | つながり方 |
|---|---|---|
| 全部がWPA3に対応 | WPA3 | 全部がWPA3でつながる |
| 古い機器もある・分からない | WPA2/WPA3(両対応) | 対応する機器はWPA3、古い機器はWPA2 |
| 両対応でもつながらない機器がある | WPA2(AES) | 全部がWPA2でつながる |
※ Appleの推奨設定と総務省の手引きに沿った分け方です。2行目は「移行モード」「混在」とも呼ばれます。
対応の目安はWi-Fi 6です。Appleは、Wi-Fi 6に対応する機器ならどれもWPA3を使えると案内しています。型番で調べるのは、それより古いプリンター、ゲーム機、家電です。
ルーターにWPA3の項目がない家は、3行目のままで構いません。総務省の手引きは、WPA2を今の主流の方式とし、ルーターのファームウェア(本体のソフト)を最新にすれば安全に使えると説明しています。
古い機器が1台あるだけで、選ぶ行が変わります。鍵の何が、そこまで違うのでしょうか。
WPA2とWPA3は何が違う?変わったのは鍵の確かめ方
どちらも、機器とルーターのあいだの電波を暗号にし、パスワードを知らない人を入れない方式です。この区間の話はWi-Fiの仕組みにあります。WPA3は2018年に発表された新しい世代で、Wi-Fi Allianceの認証(Wi-Fi CERTIFIED)を受ける機器には、今は対応が必須です。

Wi-Fiの入口を門にたとえると、WPA2とWPA3は門の鍵です。パスワードという合言葉を使うのは同じで、合言葉を確かめ合う手順が作り直されました。
| 比べる点 | WPA2 | WPA3 |
|---|---|---|
| パスワードの確かめ方 | PSK(事前共有鍵) | SAE。パスワードを当てようとする試みへの守りを強化 |
| つなぐ・切るなどの合図(管理フレーム)の保護 | 必須ではない | 必須 |
| 見つかった弱点 | 修正が配られている | WPA2で報告された弱点を解消 |
| つながる機器 | 古い機器まで広い | ルーターと機器の両方の対応が要る |
大きいのは1行目で、Wi-Fi Allianceの説明です。それでもAppleは、どちらを選んでも強いパスワードにするよう案内しています。
早見表の理由は4行目です。WPA3の門だけにすると、WPA2の鍵しか持たない機器は入れません。
鍵が強くなったのなら、通信も速くなりそうです。
WPA3にすると、Wi-Fiは速くなる?
速くなりません。速さに関わるのは、鍵とは別の「伝送規格」です。総務省の手引きも、WPA2やWPA3とは別に、最大伝送速度に関係する伝送規格があると分けています。Wi-Fi 5、Wi-Fi 6という呼び名がそれで、中身はWi-Fi 6とはで確かめられます。同じ電波を何台もの機器が分け合う様子は、物語の第22話で見られます。
逆はあります。Appleは、WEPやTKIPなど廃止された古い方式を、安全性に乏しいうえ、ネットワークの信頼性やパフォーマンスも損なうものとしています。速さのためにできるのは、WPA3へ上げることではなく、古い方式をやめることです。
自分の家は、古い方式を使っていないか。半分近くの人は、それを知りません。
自分のWi-Fiは今どれ?iPhone・Windows・Pixelでの見分け方
総務省の調査(2024年3月)では、自宅でWi-Fiを使う961人のうち49.1%が、暗号化しているか「わからない」と答えました。手がかりは、いつもの機器の画面に出ます。
| 機器 | 手がかり | 意味 |
|---|---|---|
| iPhone | Wi-Fiにつなぐと「安全性の低いセキュリティ」と出る | ルーターが古い方式。WPA2-PSK(AES)以上に変えると出なくなる(NECの案内) |
| Windows | Wi-Fiが保護されていないという通知が出る | WEPやTKIPなど古い方式でつないでいる(Microsoftの案内) |
| Pixel | 設定 → ネットワークとインターネット → インターネットで、つないでいるWi-Fiの設定アイコンを開く | 電波強度、周波数、セキュリティが出る(Googleの案内) |
| ルーターの設定画面 | 「暗号化モード」「認証方式」などの項目 | 今の方式そのもの |
※ 2026年10月10日に各社の公式ページで確認。
警告が出るのには理由があります。WEPは、暗号を短時間で解読する方法が知られています。WPAとTKIPにも弱点が見つかっていて、総務省はどれも勧めていません。Microsoftも、WEPやTKIPは今後、段階的に廃止する予定だとしています。
iPhoneとWindowsの警告で分かるのは、古い方式かどうかまでです。WPA2かWPA3かは、ルーターの設定画面で確かめます。ところが、そこに並ぶ名前はメーカーごとに違います。
ルーターの設定画面では、どの名前を選ぶ?
| メーカー | WPA3だけ | 両対応 | WPA2だけ |
|---|---|---|---|
| Appleの呼び方 | WPA3パーソナル | WPA2/WPA3移行(Transitional) | WPA2パーソナル(AES) |
| NEC(Aterm) | WPA3-SAE(AES) | WPA2-PSK(AES)/WPA3-SAE(AES) | WPA2-PSK(AES) |
| ASUS | WPA3-Personal | WPA2/WPA3-Personal | WPA2-Personal |
| バッファロー | WPA3 | WPA2/WPA3 | WPA2 |
※ 各社の公式ページにある名前です。選べる項目は機種で変わり、項目名も「暗号化モード」(NEC)、「認証方式」(ASUS・バッファロー)と違います。
読み方は3つで足ります。「SAE」とあればWPA3。「PSK」はWPA2までの呼び名。「TKIP」と「AES」を選べるならAESです(総務省)。NECの「WPA/WPA2-PSK」のように古い方式が混ざった設定は、iPhoneに警告が出ます。
変える前に、今の設定名を控えます。Appleは設定のバックアップを勧めています。変えるとWi-Fiがいったん切れるので、ASUSの案内のとおり、誰も使っていない時間を選びます。
ここまでは順調に進みます。つまずくのは、変えたあとです。
WPA3にしたら、つながらない機器が出た。どうする?
ユイ
両対応にしたのに、古いプリンターだけつながらなくなりました
マコト
あわてて鍵を外さなくていいよ。戻る道は、順番に用意されているから
- その機器に保存されたWi-Fiの設定を削除し、つなぎ直す。 Appleは、ルーターの設定を変えたら、つないだことのある機器でこれを行うよう案内しています。
- ボタンでつなぐ機器(WPS)なら、WPA3だけの設定をやめる。 ASUSは、WPA3ではWPSでの接続に対応しないとして、両対応かWPA2を案内しています。
- ルーターと機器の更新を確かめる。 ASUSは、WPA3がうまく動かないときの最初の確認に、ルーターのファームウェアの更新を挙げています。
- それでもだめなら、WPA2(AES)にする。 バッファローの案内は、機器の仕様によって両対応ではつながらない場合があるとして、ルーターを「WPA2」にするか、機器の側をWPA2かWPA3に固定する方法を挙げています。
下げるのはここまでです。Appleは、セキュリティを無効にする設定は一時的でも危険だとしています。WEPにも戻しません。
古いゲーム機などのために、古い方式の接続先(SSID)がもう一つ残っているルーターもあります。総務省の手引きは、要らなければ止めるよう勧めています。
鍵のせいではない止まり方も、3つあります。
| つまずいている場所 | 先に見るところ |
|---|---|
| 接続先の名前(SSID)が一覧に出ない | 機器が対応する周波数帯、電波が届く場所か |
| 名前は見えるが接続できない | パスワード、鍵の方式への対応 |
| Wi-Fiにはつながるがページが開かない | Wi-Fiは繋がってるのにネットが見れないときの順番へ |
ルーターの初期化は、ほかの設定まで消します。方式を戻すことと、初期化は分けて考えます。
全部つながりました。これで家のWi-Fiは安全、と言い切れるでしょうか。
WPA3にすれば、もう安心?鍵が守るのはルーターまで
鍵が守るのは、機器からルーターまでの区間だけです。総務省の手引きも、Wi-Fiの暗号化の範囲はそこまでと図で示しています。その先で中身を守るのはHTTPSです。偽のサイトに自分でパスワードを入れてしまうフィッシングは、どちらの鍵でも防げません。
鍵のほかに、手引きが挙げる点は4つあります。推測されにくいパスワード、サポート期限内のルーター、最新のファームウェア、設定の定期的な確認です。

家の外では、鍵を選ぶのは自分ではありません。総務省の公衆Wi-Fi向けの手引きは、つなぐ先をよく確かめ、正しいURLにHTTPSでつながっているかを見るよう勧めています。
ミニクイズ:どっちがいいか、言える?
Q1. WPA2とWPA3、どっちがいいですか?
A. 家の機器が全部WPA3対応ならWPA3、古い機器もあれば両対応の「WPA2/WPA3」、それでもつながらなければWPA2(AES)です。
Q2. WPA3にすると、Wi-Fiは速くなりますか?
A. なりません。速さに関わるのは伝送規格です。WEPやTKIPなど古い方式は、速さも損ないます。
Q3. iPhoneに「安全性の低いセキュリティ」と出たら、どうしますか?
A. ルーターが古い方式です。設定画面で、WPA2(AES)以上に変えます。
ラボのルーターは「WPA2/WPA3」にした
ユイが選んだのは両対応でした。棚に、古い端末が残っているからです。変える前の設定名は控えてあります。古い端末が引退する日が来たら、WPA3だけにします。
家でいちばん古い機器を、一つ思い浮かべてください。それが分かれば、選ぶ行はもう決まっています。
この記事について
LAB WHITEBOARD
WPA2とWPA3の違いを一文で説明してみよう
「WPA2とWPA3の違いを鍵の確かめ方の違いとして説明でき、家の機器に合わせてWPA3・WPA2/WPA3・WPA2(AES)のどれを選ぶか、設定画面での名前、つながらない機器が出たときの順番を言えるようになる。」を、いまの自分の言葉で一文にしてみてください。途中の説明でも大丈夫です。




