動画データの仕組みとは?データ量が大きいわけと、圧縮で小さくなる理由

30秒でわかる答え

動画データは、1秒に何十枚もの画像(フレーム)を順に見せる絵の連続に、音を同じ時間で重ねたデータです。全部の絵を保存すると大きすぎるので、前の絵と変わらない部分は省いて小さくします。見る数字は解像度・fps・ビットレートの3つです。

写真は何枚送ってもすぐ終わるのに、10秒の動画を1本送るだけで待たされます。同じカメラで撮ったのに、どうして動画だけこんなに大きいのでしょうか。そして、その大きいはずの動画を、なぜ「圧縮」で小さくできるのでしょうか。

動画データとは、1秒に何十枚もの画像(フレーム)を順に見せる絵の連続に、音を同じ時間で重ねたデータです。

絵を1枚ずつ丸ごと保存すると大きすぎるので、前の絵と変わらない部分は省いて小さくします。この省き方が圧縮です。見る数字は、1枚の細かさ(解像度)、1秒の枚数(fps)、1秒に使うデータ量(ビットレート)の3つです。

動画データの仕組み|画像の連続に、音を同じ時間で重ねる

パラパラ漫画で、ボールの位置を少しずつ変えた絵をめくると、ボールが動いて見えます。動画も同じで、1枚ずつの画像を決まった速さで切り替えて、動きを見せています。一時停止すると画面が1枚の画像に戻るのは、もともと1枚ずつの絵だからです。

絵の1枚ずつは画像データの仕組みで見た点の集まり、音は音声データの仕組みで見た波の数字です。動画はこの2つに、「どの絵を何秒目に見せるか」「どの音を何秒目に鳴らすか」という時間の情報を足したものです。音のない動画なら、絵と時間だけになります。

パラパラ漫画と違い、ファイルの中に紙が1枚ずつ入っているわけではありません。絵は小さくまとめた形で入っていて、再生するときに1枚ずつ組み立て直します。絵の点と音の波が同じ時間の線に並ぶ様子は、第77話「動画データは何を重ねる?」でイトたちが映写台で見ています。

TERM PRIMER

動画データの仕組み|先に知っておく言葉

動画データ
映像と音声を、決めた形式の数値として表したデータです。
フレーム
動画を作る、一枚一枚の静止画です。
fps
1秒間に表示するフレームの枚数です。
ビットレート
1秒あたりに使うデータの量です。動画や音声では、画質・音質と容量の両方に関わります。
圧縮
データの表し方を工夫して、容量を小さくすることです。

マコト

1枚の絵を細かくすることと、絵をたくさん用意することは、別の話なんだね

イト

30fpsと60fpsって、その絵の数がちがうってこと?

ピコ

そう。1秒の動きを何枚の絵で表すか。その枚数が、動画が大きくなる最初の理由だよ

動画のデータ量はなぜ大きい?30fpsの10秒は300枚の絵

フレームは、動画を作る1枚1枚の画像です。fpsは「frames per second」の頭文字で、1秒に何枚のフレームを見せるかを表します。30fpsなら、1秒の間に30枚の絵が切り替わります。

同じ10秒を表す場合フレーム数
30fpsが一定30 × 10 = 300枚
60fpsが一定60 × 10 = 600枚

ここに、動画が大きくなる理由があります。フレームの1枚1枚は、点の集まりでできた画像です。10秒で300枚なら、写真300枚を1枚ずつ保存するのと同じ量になるはずです。60fpsにすれば、同じ10秒で600枚に増えます。

60fpsは、ボールの途中の位置をより多くの時点で記録するので、速い動きがなめらかに見えます。画面の仕様にある「Hz」は画面を書き換える回数で、動画のフレームが増える話ではありません。

イトとマコトとピコが、連続する動画フレームと時間の流れを見ている
ボールの位置が違うフレームを、時間に沿って表示します。図は連続するコマの一部を表した模型で、並んだ枚数が30fpsや60fpsを示すものではありません。

ところが、スマホに入っている10秒の動画は、写真300枚を並べた容量よりずっと小さいはずです。300枚ぶんの絵を、どこで減らしているのでしょうか。

動画の圧縮の仕組み|前と変わらない部分は送らず、細部も省く

カメラを固定して、ボールだけが転がる場面を思い浮かべてください。隣り合うフレームを見比べると、背景はほとんど同じで、変わっているのはボールのまわりだけです。

圧縮の一つ目の方法は、この「変わらない部分」を毎回保存しないことです。基準になる絵を1枚とっておき、次の絵は「ここは前と同じ」「ここだけ変わった」という形で記録します。動きが少ない場面ほど、記録することが減ります。これがフレーム同士の似ているところを使う圧縮で、動画が写真300枚ぶんより小さくなる最大の理由です。

二つ目の方法は、人の目に付きにくい細部を省くことです。1枚の中の似た色や模様をまとめ、細かすぎる違いは落とします。この省き方は「非可逆(ひかぎゃく)圧縮」と呼ばれ、再生できる絵には戻せても、落とした細部までは元に戻りません。だから、圧縮を強くするほど容量は減り、輪郭のにじみや細かな模様のつぶれが出やすくなります。

この圧縮と復元の決まりがコーデックです。映像ではH.264、H.265、AV1などの名前を見かけます。保存側と再生側が同じ決まりを使うから、小さくしたデータを元の絵に組み立て直せます。MP4などのファイル形式は、映像と音と時間の情報をまとめて入れる「入れ物」の決まりで、コーデックとは役割が違います。入れ物と中身の違いはファイル形式とはで確かめられます。

ユイ

では、フレームが2倍の60fpsにすると、圧縮しても容量は2倍になるんでしょうか

ピコ

圧縮した後の容量は、枚数では決まらないんだ。決めているのは、1秒に使うデータの量。その数字を見に行こう

動画の容量を決めるのは何?画質・fps・ビットレートの関係

ビットレートは、圧縮した後の動画が1秒あたりに使うデータの量で、bpsやMbpsという単位で表します。圧縮後の映像の容量は、この平均ビットレートに動画の長さをかけた量で決まります。ファイル全体には、さらに音声と管理用の情報が少し加わります。

ここで意外なことが起きます。平均ビットレートと長さが同じなら、fpsを30から60に増やしても、容量は2倍になりません。1秒に使えるデータの量は同じまま、見せる絵が2倍になるので、1枚あたりに使えるデータが減ります。解像度を上げたときも同じで、点が増えたぶん、同じ見え方を保つにはビットレートを増やす必要があります。

同じ「Mbps」でも、動画のビットレートは「再生に1秒あたり必要な量」、回線速度は「1秒あたりに運べる量」です。単位が同じでも、見ている相手が違います。

見る項目何を決めるか効くところ
解像度(HD・フルHD・4K)1枚を何個の点で表すか細かさ
fps1秒を何枚の絵で表すか動きのなめらかさ
ビットレート1秒にどれだけデータを使うか容量(長さをかける)と、細部の残り方
圧縮方式・設定どう小さくまとめるか細部の残り方と、再生できる機器
イトとユイとピコが、同じ大きさの二つのパネルに並ぶ粗い画素と細かい画素を比べている
図は一枚の画像を表す画素の細かさの比較です。圧縮後の容量は、画素数だけでなくビットレートや動画の長さでも変わります。

数字がそろっても、まだ動画としては足りません。拍手の音が手より遅れて聞こえたら、それだけで気になります。絵と音は、どうやって同じ時刻にそろえているのでしょうか。

映像と音を合わせる仕組み|タイムスタンプで同じ時刻にそろえる

拍手を撮った動画を思い浮かべてください。手が合わさった瞬間に音が鳴れば自然ですが、手が離れてから音がすると、すぐにずれに気づきます。口の動きと声、映像と字幕でも同じです。

映像と音は別々のデータなので、動画には「この絵は何秒目に表示する」「この音は何秒目に鳴らす」という時刻の印が付いています。この印がタイムスタンプです。再生するアプリは、届いた順にそのまま出すのではなく、タイムスタンプを見て絵と音を同じ時刻にそろえてから出します。通信や端末の処理が間に合わないと、このそろえる作業が追いつかず、再生が止まったり音がずれたりします。

イトとマコトとピコが、映像フレームと音声の波を同じ時間ラインに合わせている
映像と音は、同じ時間の線にそろえて再生されることで自然に見聞きできます。

動画データの数字をスマホで確かめる場所

まず、保存してある動画を1本選んで、情報画面を開いてみてください。「10秒」「1920×1080」「30fps」と容量の数字が、長さ、1枚の細かさ、1秒の枚数、圧縮後の大きさとして、それぞれ別の役割で読めるようになっています。

  • 保存済みの動画:情報画面で長さ・画素数・fps・容量・形式を見る。表示される項目はアプリごとに違う。
  • これから撮る動画:カメラアプリの設定で、解像度とfpsを別々に確かめる。容量を減らしたいなら、まずここを見る。
  • 書き出す動画:編集アプリの書き出し設定で、解像度・fps・コーデック・ビットレート(品質)を見る。見え方を保ちたいなら、ここを見る。

圧縮で何が変わるかを自分の目で確かめるなら、元の動画は残したまま、同じ短い区間を品質設定だけ変えて2つ書き出してみましょう。解像度とfpsは同じにします。容量の差だけでなく、動く物の輪郭や細かな模様がどう見えるかを並べて比べると、「小さくするために何を省いたか」が見えてきます。

動画データでよくある質問

Q1. 動画を圧縮すると、画質は必ず落ちますか?

省き方によります。前の絵と変わらない部分を省くだけなら、見え方は変わりません。細部を省く非可逆圧縮では戻せないので、品質設定を下げるほど輪郭のにじみや模様のつぶれが出やすくなります。

Q2. fpsを上げると、画質はよくなりますか?

なめらかになるのは動きで、1枚の細かさは変わりません。ビットレートが同じままなら、1枚あたりに使えるデータが減るぶん、細部はむしろ崩れやすくなります。

Q3. 同じ長さの動画なのに、容量が違うのはなぜですか?

圧縮後の容量は、長さと平均ビットレートで決まるからです。解像度やfps、品質設定、動きの多さが違えば、同じ長さでもビットレートが変わり、容量も変わります。

写真は軽いのに動画は重い、という冒頭の疑問に戻ります。「30fpsの動画は10秒で写真300枚ぶんの絵でできていて、変わらない部分と目に付きにくい細部を省いて小さくしている」。この一文が言えれば、情報画面の数字はもう別々の役割で読めます。

今日の一歩は、手元の動画を1本開いて、長さ・解像度・fps・容量を見ることです。では、その動画がまだ最後まで届いていないのに、途中で止まらず再生できるのはなぜでしょうか。続きは動画配信の仕組みで、少し先のデータを受け取りながら再生する流れをたどります。

この記事について

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動画データの仕組みを一文で説明してみよう

「動画が画像の連続と音でできていること、圧縮で小さくなる理由、解像度・fps・ビットレートが容量と見え方のどこに効くかを、自分の言葉で説明できるようになる。」を、いまの自分の言葉で一文にしてみてください。途中の説明でも大丈夫です。