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暗号化|先に知っておく言葉
ログイン画面の鍵マークを押すと「この接続は暗号化されています」と出る。スマホの説明にも「データは暗号化して保護」とある。読めない形に変える、と聞いても、何がどう変わっているのかは見えません。
暗号化とは、内容をそのまま読めない形に変え、合う鍵を持つ相手だけが元に戻せるようにする仕組みです。 途中で見た人には記号の列にしか見えず、鍵を持つ相手だけが元の文章に戻せます。
暗号化の仕組み:読めない形に変え、鍵で戻す
手紙の文章をそのまま送るのではなく、決まった手順で記号の列に変えて送る。受け取った相手は、合う鍵でその手順を逆にたどって元の文章に戻す。これが暗号化と復号です。コンピューターでは、この手順を数学の計算で、鍵を長いデータで行います。
| 言葉 | 役割 |
|---|---|
| 平文 | そのまま読める元のデータ |
| 暗号文 | 暗号化されて、読めない形になったデータ |
| 鍵 | 暗号化と復号に使う、秘密の情報 |
| 復号 | 暗号文を元の形に戻すこと |

鍵には二つの型があります。共通鍵は、暗号化と復号に同じ鍵を使う型で、相手と同じ鍵を安全に分け合う必要があります。公開鍵は、公開してよい鍵と自分だけが持つ秘密鍵を組にする型で、相手に鍵を渡さずに読めない形で送れます。入口では「鍵がないと元に戻せない形にする」と押さえれば足ります。
マコト
暗号化は、ただ隠すだけではなく、戻す鍵の管理も大事なんだね
ピコ
そう。強い仕組みでも、鍵の扱いが悪いと守りが弱くなる場合があるよ
マコトの言うとおり、暗号化の強さは計算だけでなく鍵の扱いで決まります。鍵をなくせば自分も戻せず、鍵が漏れれば他人が戻せます。
この仕組みは、気づかないうちに毎日使っています。
暗号化が身近で使われる5つの場面
| 場面 | 暗号化がしていること |
|---|---|
| HTTPSのWebサイト | ブラウザとサーバーの間を流れる内容を読めない形にする |
| スマホやパソコン | 端末の中に保存したデータを、ロックを解除できる人だけが読める形にする |
| メッセージアプリ | 送ったメッセージの内容を、途中で読めない形にする |
| バックアップ | 保存先に置いたデータを読めない形にする |
| パスワード管理 | 保管している秘密の情報を読めない形にする |
利用者の画面に計算そのものは出ません。かわりに、HTTPSの鍵マーク、端末のセキュリティ設定、バックアップの保護設定、メッセージアプリの説明に手がかりが出ます。
ユイ
暗号化は、文字を読めない形に変えることなんですよね
ピコ
うん。ただし、戻すための鍵や使われる場面まで見ると役割がはっきりするよ
イト
SSL/TLSの通信路でも、その暗号化が使われていたんだね
第54話「暗号化はどうやって中身を読みにくくする?」では、SSL/TLSの通信路の奥にある「読めない文字の机」を見ます。
五つの場面は、「データがどこにあるとき」を守るかで二つに分かれます。
暗号化は通信中と保存中で、守る場所が違う
| 場面 | 守るもの | 手がかりの場所 |
|---|---|---|
| 通信中の暗号化 | ブラウザとサーバーの間を流れるログイン情報や入力内容 | アドレス欄の鍵マーク |
| 保存中の暗号化 | 端末、サーバー、バックアップに置かれたデータ | 端末のセキュリティ設定、バックアップの保護設定 |
SSL/TLSは通信中の話で、スマホやパソコンのストレージの暗号化は保存中の話です。同じ「暗号化」でも、通信中の鍵マークが付いていても端末をなくしたときの備えにはならず、端末の暗号化が有効でもWi-Fiの通り道は守られません。どこにあるデータを守るのかで、見る場所を変えます。

通信中の側で、暗号化を自動で行っている仕組みがSSL/TLSです。
暗号化とSSL/TLS・HTTPSの関係
ブラウザとサーバーは、通信を始める前に使う鍵と方法をそろえ、そのあと通信の内容を暗号化してやり取りします。この一連の手順がSSL/TLSとはで、それを使った通信がHTTPSです。鍵マークは「通り道が暗号化されている」印です。
暗号化はSSL/TLSだけのものではありません。ファイルの保存、メッセージアプリ、バックアップ、パスワード管理でも同じ考え方が使われます。通信の経路ごと暗号化して使うサービスはVPNとはへ続きます。
通り道も保存先も暗号化されていれば安心、と言いたいところですが、暗号化には守れないものがあります。
暗号化でできることと、できないこと
できることは、次の三つです。
- 通信の内容を、途中でそのまま読まれないようにする
- 保存したデータを、鍵を持たない人が読めないようにする
- 盗み見や持ち出しへの備えになる
暗号化だけでは防げないのは、次の五つです。
- 偽サイトに、自分で入力してしまうこと
- 弱いパスワードや、使い回し
- 端末がすでに乗っ取られていること
- 鍵や復旧コードをなくすこと
- サービス側の設計や運用の問題
とくに一つめは、暗号化が完璧でも起きます。偽サイトへの入力は、読めない形で偽サイトに届くだけだからです。暗号化は、本人確認、アクセス権、バックアップ、端末の管理、フィッシング対策と組み合わせて初めて守りになります。
暗号化の言葉を3つ埋めるワーク
次の三つを、暗号化の言葉で言ってみてください。
- そのまま読める元の文章: __________
- 読めない形に変わった文章: __________
- 元に戻すために使うもの: __________
答えは、平文、暗号文、鍵です。
暗号化でよくある質問
Q1. 暗号化と復号は、どう違いますか?
暗号化は読めない形に変えること、復号は鍵で元の形に戻すことです。往きと帰りの関係です。
Q2. スマホのロックを解除したら、暗号化は解けていますか?
ロックを解除した人には読める形で見えます。解除できない人には読めない形のままです。だからロックの番号やパスコードが、保存中の暗号化の鍵の入口になります。
Q3. 暗号化されていれば、フィッシングの心配はなくなりますか?
いいえ。偽サイトに自分で入力すれば、読めない形のまま偽サイトへ届くだけです。暗号化と入力先の確認は別に行います。見分け方はフィッシングとはにあります。
「暗号化されています」は通り道の話か、保存の話か
冒頭の鍵マークとスマホの説明に戻ります。鍵マークの「暗号化されています」は通り道の話、スマホの「暗号化して保護」は保存先の話。どちらも「読めない形に変えて、鍵を持つ人だけが戻せる」という同じ仕組みを、別の場所で使っています。
今すぐできる一歩は、いま開いているページの鍵マークを押して接続の表示を見ることと、スマホの設定でロックが掛かっていることを確かめることです。この二つで、通信中と保存中の両方を一度ずつ見たことになります。通り道の仕組みはHTTPSとはへ続きます。
LAB WHITEBOARD
暗号化を一文で説明してみよう
「暗号化を「読めない形に変え、鍵で戻す」と言え、平文・暗号文・鍵・復号を分け、通信中と保存中で守る場所が違うこと、暗号化があっても偽サイトへの入力は防げないことを説明できる。」を、いまの自分の言葉で一文にしてみてください。途中の説明でも大丈夫です。




