仕組みを知る

暗号化とは?仕組みをわかりやすく|鍵で戻せる形に変える流れと限界

暗号化とは、内容をそのまま読めない形に変え、合う鍵を持つ相手だけが元に戻せるようにする仕組みです。通信中(HTTPS)と保存中で守る場所が違うこと、鍵と復号の関係、暗号化があっても防げないものが分かります。

暗号化とは?仕組みをわかりやすく|鍵で戻せる形に変える流れと限界

30秒でわかる答え

暗号化とは、内容をそのまま読めない形に変え、合う鍵を持つ相手だけが元に戻せる(復号できる)ようにする仕組みです。HTTPSは通信中、スマホのロックは保存中の暗号化で、守る場所が違います。偽サイトに自分で入力することは、暗号化では防げません。

TERM PRIMER

暗号化|先に知っておく言葉

暗号化
内容をそのまま読めない形へ変える処理です。通信や保存データを守るために使います。
復号
符号化された情報から、元の内容や起きた誤りを読み取る処理です。暗号では読める形へ戻し、量子誤り訂正では測定結果から誤りを推定します。
鍵
暗号化や復号に使う、決まった長さのデータです。
公開鍵
相手へ配ってよい鍵です。暗号化や、署名の確認に使います。
共通鍵
送り手と受け手が同じものを持ち、暗号化と復号の両方に使う鍵です。
HTTPS
HTTPの通信を暗号化して、より安全にやり取りするためのしくみです。

ログイン画面の鍵マークを押すと「この接続は暗号化されています」と出る。スマホの説明にも「データは暗号化して保護」とある。読めない形に変える、と聞いても、何がどう変わっているのかは見えません。

暗号化とは、内容をそのまま読めない形に変え、合う鍵を持つ相手だけが元に戻せるようにする仕組みです。 途中で見た人には記号の列にしか見えず、鍵を持つ相手だけが元の文章に戻せます。

暗号化の仕組み:読めない形に変え、鍵で戻す

手紙の文章をそのまま送るのではなく、決まった手順で記号の列に変えて送る。受け取った相手は、合う鍵でその手順を逆にたどって元の文章に戻す。これが暗号化と復号です。コンピューターでは、この手順を数学の計算で、鍵を長いデータで行います。

言葉役割
平文そのまま読める元のデータ
暗号文暗号化されて、読めない形になったデータ
鍵暗号化と復号に使う、秘密の情報
復号暗号文を元の形に戻すこと
イトとピコが、画面のむこう側の回廊でデータが読めない形に変わる様子を見ている
暗号化は、元の内容をそのまま読めない形に変えて、途中で見られても理解しにくくします。

鍵には二つの型があります。共通鍵は、暗号化と復号に同じ鍵を使う型で、相手と同じ鍵を安全に分け合う必要があります。公開鍵は、公開してよい鍵と自分だけが持つ秘密鍵を組にする型で、相手に鍵を渡さずに読めない形で送れます。入口では「鍵がないと元に戻せない形にする」と押さえれば足ります。

マコト

暗号化は、ただ隠すだけではなく、戻す鍵の管理も大事なんだね

ピコ

そう。強い仕組みでも、鍵の扱いが悪いと守りが弱くなる場合があるよ

マコトの言うとおり、暗号化の強さは計算だけでなく鍵の扱いで決まります。鍵をなくせば自分も戻せず、鍵が漏れれば他人が戻せます。

この仕組みは、気づかないうちに毎日使っています。

暗号化が身近で使われる5つの場面

場面暗号化がしていること
HTTPSのWebサイトブラウザとサーバーの間を流れる内容を読めない形にする
スマホやパソコン端末の中に保存したデータを、ロックを解除できる人だけが読める形にする
メッセージアプリ送ったメッセージの内容を、途中で読めない形にする
バックアップ保存先に置いたデータを読めない形にする
パスワード管理保管している秘密の情報を読めない形にする

利用者の画面に計算そのものは出ません。かわりに、HTTPSの鍵マーク、端末のセキュリティ設定、バックアップの保護設定、メッセージアプリの説明に手がかりが出ます。

ユイ

暗号化は、文字を読めない形に変えることなんですよね

ピコ

うん。ただし、戻すための鍵や使われる場面まで見ると役割がはっきりするよ

イト

SSL/TLSの通信路でも、その暗号化が使われていたんだね

第54話「暗号化はどうやって中身を読みにくくする?」では、SSL/TLSの通信路の奥にある「読めない文字の机」を見ます。

五つの場面は、「データがどこにあるとき」を守るかで二つに分かれます。

暗号化は通信中と保存中で、守る場所が違う

場面守るもの手がかりの場所
通信中の暗号化ブラウザとサーバーの間を流れるログイン情報や入力内容アドレス欄の鍵マーク
保存中の暗号化端末、サーバー、バックアップに置かれたデータ端末のセキュリティ設定、バックアップの保護設定

SSL/TLSは通信中の話で、スマホやパソコンのストレージの暗号化は保存中の話です。同じ「暗号化」でも、通信中の鍵マークが付いていても端末をなくしたときの備えにはならず、端末の暗号化が有効でもWi-Fiの通り道は守られません。どこにあるデータを守るのかで、見る場所を変えます。

ユイとマコトとピコが、移動中のデータと保存中のデータが別々の場所で守られる様子を見ている
暗号化は、通信中のデータにも、保存中のデータにも使われますが、確認する場所は変わります。

通信中の側で、暗号化を自動で行っている仕組みがSSL/TLSです。

暗号化とSSL/TLS・HTTPSの関係

ブラウザとサーバーは、通信を始める前に使う鍵と方法をそろえ、そのあと通信の内容を暗号化してやり取りします。この一連の手順がSSL/TLSとはで、それを使った通信がHTTPSです。鍵マークは「通り道が暗号化されている」印です。

暗号化はSSL/TLSだけのものではありません。ファイルの保存、メッセージアプリ、バックアップ、パスワード管理でも同じ考え方が使われます。通信の経路ごと暗号化して使うサービスはVPNとはへ続きます。

通り道も保存先も暗号化されていれば安心、と言いたいところですが、暗号化には守れないものがあります。

暗号化でできることと、できないこと

できることは、次の三つです。

  • 通信の内容を、途中でそのまま読まれないようにする
  • 保存したデータを、鍵を持たない人が読めないようにする
  • 盗み見や持ち出しへの備えになる

暗号化だけでは防げないのは、次の五つです。

  • 偽サイトに、自分で入力してしまうこと
  • 弱いパスワードや、使い回し
  • 端末がすでに乗っ取られていること
  • 鍵や復旧コードをなくすこと
  • サービス側の設計や運用の問題

とくに一つめは、暗号化が完璧でも起きます。偽サイトへの入力は、読めない形で偽サイトに届くだけだからです。暗号化は、本人確認、アクセス権、バックアップ、端末の管理、フィッシング対策と組み合わせて初めて守りになります。

暗号化の言葉を3つ埋めるワーク

次の三つを、暗号化の言葉で言ってみてください。

  1. そのまま読める元の文章: __________
  2. 読めない形に変わった文章: __________
  3. 元に戻すために使うもの: __________

答えは、平文、暗号文、鍵です。

暗号化でよくある質問

Q1. 暗号化と復号は、どう違いますか?

暗号化は読めない形に変えること、復号は鍵で元の形に戻すことです。往きと帰りの関係です。

Q2. スマホのロックを解除したら、暗号化は解けていますか?

ロックを解除した人には読める形で見えます。解除できない人には読めない形のままです。だからロックの番号やパスコードが、保存中の暗号化の鍵の入口になります。

Q3. 暗号化されていれば、フィッシングの心配はなくなりますか?

いいえ。偽サイトに自分で入力すれば、読めない形のまま偽サイトへ届くだけです。暗号化と入力先の確認は別に行います。見分け方はフィッシングとはにあります。

「暗号化されています」は通り道の話か、保存の話か

冒頭の鍵マークとスマホの説明に戻ります。鍵マークの「暗号化されています」は通り道の話、スマホの「暗号化して保護」は保存先の話。どちらも「読めない形に変えて、鍵を持つ人だけが戻せる」という同じ仕組みを、別の場所で使っています。

今すぐできる一歩は、いま開いているページの鍵マークを押して接続の表示を見ることと、スマホの設定でロックが掛かっていることを確かめることです。この二つで、通信中と保存中の両方を一度ずつ見たことになります。通り道の仕組みはHTTPSとはへ続きます。

LAB WHITEBOARD

暗号化を一文で説明してみよう

「暗号化を「読めない形に変え、鍵で戻す」と言え、平文・暗号文・鍵・復号を分け、通信中と保存中で守る場所が違うこと、暗号化があっても偽サイトへの入力は防げないことを説明できる。」を、いまの自分の言葉で一文にしてみてください。途中の説明でも大丈夫です。

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